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未勝利日記

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2007-10-13 鉄塔 武蔵野線

_ 鉄塔 武蔵野線

ファンタジーノベル大賞を受賞した時に話題になったのも知っているし、最初に文庫化されたときもそのことを耳にしたし、評判がよいのも知っていたのだが、これまで読んでいなかったのである。何故かというと、やはり小説は写真とは切り離して存在するべきものだと思っていたからである。まあ、あまり評判が良すぎると嫉妬してしまうというのも理由ではあるが。

で、今回の文庫化ではすべての写真が掲載されている完全版だというのだが、おれはこの作品は、写真とは不可分ではないと思う。つまり、写真なしでも成立すると思う。それどころか、鉄塔なしでも成立すると思う。いや、これは傑作ですよ。人間の持つ本質的な部分に触れるものがある。それは、オタク心に似ているが、いっそう根源的なものだとオレは思うのだ。

それをここで名付けるとすると、「***帰納本能***」とでも呼ぶべきものである。(注:帰納という言葉も、本能という言葉も正確ではないのだが、しかしこれを帰納本能以外の名で呼ぶことは、オレには考えもつかない)

写真も鉄塔もいらないと書いたが、小説である必要性もないのかもしれない。小説にとって省略は重要な技法あるいは要素なのだが、この小説には鉄塔の省略がない。他の人が書けば、必ず途中で省略するだろう。しかし、途中に省略があったのでは、帰納本能は満足しないのである。

というように素晴らしいのだが、帰納本能の満足という点から言うと、このラストはちょっと不満である。だからといって、自分でこの手のものを書くことはとうてい無理である。つまり、百近い数列について、省略なしで記述することなど、オレは無理。だが、そこが重要なのだ。


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未勝利日記 復活への道のり
未勝利日記復活とは汚名挽回に似た何かなのか。