抜き打ちテストのパラドックスについて に条件を追加してみる。
(3)の条件は本来のパラドックでは書かれていないが、 学生は当然そうだと思っているわけで、 この条件を追加してもパラドックスの本質は変わらないはずである。 学生の主張もこれに合わせて少し変更すると、
学生の主張:
今回は(3)を追加したことにより矛盾はなくなる。 従ってテストが行われないことを学生が知るのは矛盾からではなく、 (3)から直接に知ることになる。 ここで(d)の主張を詳しく見るために、 それまでにテストが行われずに水曜日の夜になったとしてみよう。 残り二日なので、
ところで、(3)の条件の付いていない本来の抜き打ちテストのパラドックスについて、「当日までにテストの実施日を学生が知った場合」 にどうするかを考えると、「そのままテストを実施する」か「テストを中止する」かのどちらかであってそれ以外ということはない。「そのままテストを実施する」場合は、 明らかに学生の主張は成立しない。「テストを中止する」場合は今回考えた。
本来のパラドックスでも学生は(3)の条件を推論に使用している。 (3)を仮定しないと学生の結論が成立しないので当然である。学生の主張が一見正しいように思えるのは推論の中で(3)の条件を使用する時もあれば、(3)をないものとして掲示の内容だけを問題にすることもあるからであろう。
注:細かいことを言うと「テストを中止する」という場合、 「その日は中止するが別の日に行なう」場合と、 「今回の指定期間中はテストを行なわない」場合とがある。 しかしどちらでも今回の議論は成立すると思う。 「当日までにテストの実施日を学生が知った場合」を二分するなら厳密には 「その日テストを実施する」と「その日はテストを実施しない」の二つになるだろう。 ただこの場合、「テスト期間中の別の日にテストを行なう」というように取れるので、 「その日がテスト期間最終日だった場合はどうするのか」 というような問題がでてくるので、故意に避けました。 議論の本質には関係ないと思われる。